「人種の違いと素朴な疑問いろいろ」出たっきり邦人@ケニア第17回

このエッセイは3人の子供を連れてケニアに住んでいた母が、2006年に書いたものです。

「出たっきり邦人・中南米・アフリカ編」というメルマガで配信していた内容を、一部編集して紹介しています。

ケニア共和国・ナイロビ発〓

ケニアよもやま話 第17回 「疑問いろいろ」

人種が違うと???と思うことがいろいろとでてくる。でも、面と向かって聞くわけにはなかなかいかなかったり、そもそも自分のことを疑問と思うことはあまりなかったりするわけですが、今回はケニアに来て「ほほー」と改めて思ったことをいくつか書いてみます。

やはり、ケニアといったら黒人の国。身体的特徴はお互いにかなり違います。

◆保護色

『白の洋服を着るときは、黒めの下着をつけること。』と、新聞のファッションコーナーに載っていた。「???」。
もう一度読んでみた。
『白の洋服を着るときは、黒めの下着をつけること。そうしないと、下着の線が服の上から透けて見えて、格好良くない。』
「???。白の洋服の時にはベージュ色の下着でしょ?黒だとすけるよー。」

そうです。ここの人たちは肌の色が暗いから、明るい色の下着はかえって目立つのです。彼らにとっての保護色は黒っぽい色なのです。「黒い下着は洋服の上からでも目立つ」という法則は、ここでは違いました。

アフリカ系アフリカ人もよくど派手な民族衣装をきていますが、確かに黒い肌には派手な色がよく合います。なかなかあの色合いは他人種はまねできないかも。

◆ 日焼け

黒人は日焼けをするのか?

多分、します。黒人の中でもいろいろな濃さの肌の色があり、本当に黒に近い色から、こげ茶色、赤茶色、薄めの茶色。先日、リゾートに行ってボートに乗り合わせた時に、かなり濃い色の人達が一緒でしたが、皆日焼け止めSPF15を塗っておりました。日焼けをするようです。

◆ ファンデーション

ケニアではブランド化粧品店はありません。メイベリンなどの試供品や、アウトレットのものなどをばらばらと扱っているお店が少しあるだけです。なので、アメリカ時代の経験から言うと、ちゃんと茶色のファンデーションが存在しておりました。町の人達がそんな化粧品を使っているわけもないですが、肌が荒れていても目立たないお得な肌の色だと思います。彼らの肌荒れは特に目に付きません。

◆ 髪の毛

黒人の人はじつに奇抜な髪型をしております。来た当初は「冗談でしょ?」と思っていた髪形も、最近では「おっ、いけてるね」などと、おかげさまで、ちょっと違った美意識も持ち合わせることができるようになりました。

そもそも、彼らの髪の毛は縮れ毛であるために、長く伸ばせないらしいです。途中で切れてしまうのだとか。だから、本当はほとんどの人はいわゆるミクロネシアのアフロヘアのような感じらしいです。だから、それにエクステンションをたくさんつけて、好みの髪型にするらしい。アフロヘアや短髪の人以外はほとんどみんなかつらだと思って間違いないようです。アメリカ映画で出てくるような美しいストレートヘアの黒人は、やはり途中で別人種が入っているからストレートヘアになっているようです。たしかナオミ・キャンベルも、ハル・ベリーも片親は黒人ではなかったはず。こちらでも、日本人とのハーフの子でも髪の毛は縮れている場合がほとんどです。

たまに、せっかくここにいるのだから、といわゆるドレッドヘア?にしてみている外国人がいますが、ほとんどの場合、地肌が目立ってしまい痛々しく見えます。特に黒髪で地肌が黒でないと、私にはとても痛々しく見えてしまいます。

日本に生まれ育ってしまうと、色鉛筆の中に入っている「はだいろ」を何の疑問もなく受け入れてしまっております。先日、末の子の幼稚園の授業参観のとき、子供たちは「MY BODY」というぬりえに色ぬりをしておりました。

ここでは、やはり近隣諸国のアフリカ出身の子供たちも多いので、色鉛筆でまず奪い合いになったのが「茶色」、白人の子が自分の肌を赤色で、塗っていたのはご愛嬌として(でも、妙に納得してしまった。確かに、彼らは赤いときもあるし。)、うちの子はやっぱり「はだいろ」を探していました。オレンジをうすく塗ってみるようにと教えてあげていて「やっぱり、黄色系なんだなぁ。」と、妙に納得。

最近の難問だったのが、末の子が友達の話をしたとき、その子はどの子?お母さんは知ってる?と、聞くと、「肌の色はねえ、○○(うちの子)よりもっと肌色なんだよ。」って…、どんな色?

「こらーっ!手で食べるんじゃなーい。」
「だってー、学校のお昼で手で食べている子いっぱいいるよー。ご飯粒だって、手で食べてたよ。」
「それは、その子の国のご飯でしょ。日本人が日本のご飯を食べるときは、手では食べないの。日本のご飯を食べるときに手で食べるのはお行儀悪いのよ。一緒に食べている人が、いい気持ちしないのよ。」

はぁー、日本の保育園は良かったなぁ。下の子なんて、おはしの使い方もそこで覚えたようなもの。うちの子供達は、上記のような説明で何となく理解はしているようなので、まあいいか。