「ザンジバル島」出たっきり邦人@ケニア第9回

このエッセイは3人の子供を連れてケニアに住んでいた母が、2006年2月に書いたものです。

「出たっきり邦人・中南米・アフリカ編」というメルマガで配信していた内容を、一部編集して紹介しています。

ケニア共和国・ナイロビ発〓

ケニアよもやま話 第9回 「ザンジバル島

ザンジバル」、異国情緒にあふれる響き。いったいどこのこと?何があるの?まったく無知なままの成り行き旅行。今回はケニアからひとっとび、ザンジバルの紹介をいたします。

ザンジバルタンザニアの海岸から約35キロのところにあります。よって、タンザニアダルエスサラームからは船でもザンジバルにアクセスできます。ケニアからは中型プロペラ機で片道1時間半、そんなに不快ではない空の旅でした。行きは特に何も見えませんでしたが、帰りにはパイロットがキリマンジャロに寄ってくれて、キリマンジャロの山頂クレーターを見下ろす贅沢つき。キリマンジャロは大きかった。

ザンジバルは現在はタンザニアの一部ですが、かつてはオマーンに支配されていた時代もあり、アラブとアフリカの融合地帯というべき場所なのです。

ザンジバルの中心部・ストーンタウンは、白塗りの建物が立ち並び、狭い石畳の道が入り組み、各家の扉は素敵な彫刻が施してあったり、アラブっぽい鋲(びょう)が飛び出ていたり、とってもアラブ風。かつては奴隷・象牙・香辛料貿易の中心として栄えた場所です。

住人の95%がイスラム教徒ということもあり、同じ黒人の顔をしているのに、ムスリムのかぶる帽子をかぶっている人がいっぱい。そして、この街はただの歴史地区ではなく現在実際に生活している人たちがたくさんいるという意味でも貴重なのです。ですから、2000年にユネスコ世界遺産にも登録されました。

夜には、海鮮物、鶏肉、牛肉などを炭火で焼いてくれる屋台が所狭しと、アラブ砦の前の公園に現れます。たこやいか、かにつめもあります。お値段?よく分かりません。私たちが訪れたときはクリスマスのハイシーズン、客の3分の2は外国人観光客なので、ふっかけられていないわけがない。でっかいかにの爪は300円。15cmくらいの細めのたこの足1本250円、でも鶏肉なら、から揚げサイズの鶏肉が5つぐらい刺さっている串1本50円。やっぱり、シーフードは外国人用ということか?

これでビールがあったら最高! なのですが、残念ながらイスラム教の方々の前では我慢…です。実際、大っぴらには売っていませんでした。交渉している外国人はおりましたが、ほめられた行動ではないかな。

夜、屋台?ナイロビでは、危なくてとても出来ませんが、たまに引ったくりなどの事件はあるものの、基本的に治安はよろしいとか。ナイロビ生活者にとってはうれしい限り。

そして、私達のザンジバル旅行の中心は実はこの歴史地区見学ではありません。狭いので、半日もあれば終わってしまうのです。旅のほとんどは島の反対側、空港から車で1

時間くらい行ったところにあるインド洋に面するビーチに滞在しました。

遠浅の青い海。セーシェルに行ったことのある夫いわく、セーシェルと変わらない美しさだとか。そして、まだ大型宿泊施設のないような場所に泊まったので、ハイシーズンなのに人が少ない。白いビーチには大きな貝が落ちていて、採集欲の強い少年、5歳男児はずーっとビーチで貝集め。砂を掘れば、シジミサイズのアサリがざくざく。遠浅なので親も見ていて安心。実は彼にとってははじめてのビーチ。ちょっとハイスタンダードすぎたかしら。

宿はね…、水も止まるし電気も止まる。お湯はもちろん出ませんが、まあ初めから期待していないので、まあいいか。ザンジバルにもちゃんと高級リゾートはあるらしい、あと日本人女性の経営しているバンガローもなかなかいいみたい。今回は残念ながら予約が取れませんでしたが、今度行くとしたらそこに泊まってみたいな。

ザンジバルでできるオプショナルツアーの代表的なものは2つ。イルカと泳ぎに出かけるドルフィンツアーとスパイス農園を見学するスパイスツアー

まずはドルフィンツアーに行きました。そこにいるイルカの種類は2種類いるらしく、その朝背中を見せてくれていたイルカ達はあまり人懐っこくないほうの種類だったとかで、一緒には泳げませんでした。でも、人好きなイルカに出会え、運がいいと一緒に泳げるらしい。一緒に泳ぎたいなら、あまりハイシーズンには行かないほうがいいかも。だって、同じことをしている船が8隻くらいはいたから、イルカも怖かったのかな、なんてね。

そして、スパイスツアー。これが、予想外に面白かった。こしょうの木、シナモンの木、バニラのつる、ターメリック、カルダモン、クローブなど初めて見るスパイスの原型がいっぱい。しかもそれでは飽きてしまいがちな子供達も楽しめる工夫がいっぱい。葉っぱで、器用にカエルを編んでくれたり、帽子、ネクタイ、指輪、かごなど、折り紙文化のある日本人でさえうなってしまうような物を、次々に歩きながら作って子供達にプレゼントしてくれる。

そのプレゼントの原価はただ。でもすばらしい技術。そう、こういうサービスは心から嬉しくなってしまう。次回、ザンジバルに行くことがあったら、折り紙好きの子供達にこのお兄さんから講習をしてもらわなくちゃ。

ナイロビに帰る日の朝、魚市場に寄った。とても新鮮ないわし発見!100円で小・中サイズ15尾ほど。手荷物に入れ、無事ナイロビに到着。夕飯にいただきました。内地ナイロビではじめて食べた新鮮ないわし、おいしかったー。普段の自分達の食生活の乏しさを改めて噛みしめてしまいました。ナイロビで売ってないことはないようですが、とても買いたいようなおめめをしていないのです。

日本から遠く離れたザンジバル島。まだまだ書き足りませんが、今日はこの辺でおしまいにします。