「陸続きの旅行」ポーランドからチェコとオーストリアへ。出たっきり邦人@ポーランド第17回

このエッセイは3人の子供を連れてポーランドに住んでいた母が、2009年9月に書いたものです。

「出たっきり邦人・欧州編」というメルマガで配信していた内容を、一部編集して紹介しています。

ポーランドワルシャワ発〓
ポーランド便り 第17回 「陸つづきの国々」

3回目のヨーロッパの夏が終わりました。ワルシャワはすっかり涼しくなってしまい、気持ちのいい秋を迎えております。
多分4回目のヨーロッパの夏は迎えることなく転勤になるのでしょうから、これが最後の夏だと思って悔いのないように過ごそうと、日本に帰ることなくこちらで過ごしました。

夏の休暇は車で旅行することに決定。ヨーロッパの国々が陸で続いている様子を体験してみることにしました。日本人にとっては外国旅行=海外旅行だから、外国に行くのにいつも乗っている自分の車と一緒、というのをやってみたかったんです。荷物もたくさん持っていけるしね。
ただしパスポートも結局一度も出さなかったし、スーパーなどの商品もかなり共通しているし、あまり外国旅行といった感じはしなかったなぁ。

2007年12月のシェンゲン協定前だったらパスポートへのスタンプがもらえたのにちょっと残念。この協定がポーランドでも実施されてから、協定を結んだ国間の人の往来が自由になったのです。ポーランドの免許証はEU内で使えるから免許証もそのままだし、交通標識もほとんど一緒だし、緊張感はあまりなし。

チェコポーランドの国境、チェコオーストリアの国境、ドイツとポーランドの国境にはまだ国境検査の施設がでーんと残ってはいたものの、オーストリアとドイツの国境は何もなし。いつの間にか過ぎてしまっていた、という感じ。ここは10年以上も前にシェンゲン協定が実施されていたから、建物もさすがにもうないのね。

言語は国境を越えるとちゃんと変わっていました。ただチェコ語ポーランド語も同じスラブ語系で似ているので、「ありがとう」「どうぞ」「もう一杯いる?」など、むこうのチェコ語もわかるし、こちらもポーランド語をちょっとボソッとごまかしながら発音すれば通じていたみたいです。

日本語でも津軽弁は難解だと聞きますけれど、もしかすると標準語と津軽弁よりも、ポーランド語とチェコ語のほうが近いのかもしれませんよ。以前もポーランド人の人と一緒にチェコの道に迷ったときに彼が道を聞きにいきました。「何語で話したの?」ときいたら「スラブ語で。」なんて言っていました。実際、スラブ語のなかのチェコ方言、ポーランド方言、スロバキア方言くらいの違いなのかもしれませんよね。

面倒だったのは、通過の両替でしょうか?ポーランドチェコがまだ独自の通貨を使っています。いちいち計算してからでないと、安いのだか高いのだかわかりません。

ちなみに、私が物価の違いをはかる目安は「マグナムアイスクリーム」です。たっぷりとチョコレートのコーティングがかったバニラアイスクリーム。この「マグナム物価指標」は私の「そこに住みたいかどうか」というのに非常に深くかかわってくるのです。同じアイスクリームなのにすごい価格差があったりして、目を疑うこともしばしばあります。今回の旅も結局マグナムアイスはポーランドまでお預けでした。

夫が喜んでいたのがアウトバーン初体験。結構緊張しますね。制限速度がない区域だと、130kmで流れに乗っているのに横をものすごい速さで追い越していく車もあってびっくり。私は怖くてスピードは130kmまでしか出せませんでした。

チェコオーストリアではガソリンスタンドなどで高速券を買って窓に貼っておきます。有効期間はいろいろあって、料金もリーズナブルです。ドイツでは無料でした。

ちなみにその高速券は乗用車なら、オーストリアで10日間券7.70ユーロ、2ヶ月券22.20ユーロ、1年券73.80ユーロ。チェコでは1週間約1100円、1ヶ月約1650円、1年約5000円、(1コロナ5円で計算しました)。リーズナブルですよね。

ヨーロッパの都会に住んでいる人は、高速道路でいろんな国にすいすいいけていいですね。ワルシャワからはまだ外国の主要都市に直接つながっている高速道路がないので、かならずうねうねの細い一般道を通ることになります。

この旅行の後、ポーランドの隣の国々をもっと近く感じることになるかと思っていたのですが、実際はそうでもなく、陸で続いているとはいっても、ワルシャワからでは隣の国にいくのはそれなりに面倒くさいのでやっぱり西は遠い、と感じています。

ユーロを使うチャンスはまたしばらくなさそうです。