仲が良かった家庭の離婚。父親への気持ちの整理のつけ方

仲が良かった家庭の親が離婚するとき、親を慕っていた子供の気持ちの整理はどうしたらいいものなのでしょう。

私は昔からお父さんっ子でした。でも、離婚の原因が父親の不倫とそれに伴う「話通じないのかな?宇宙人なのかな?」というような言動だったので、父を嫌うようになっていきました。25年間連れ添った母を深く傷つけ、子供達にも母にも一言も謝らない父を慕っていられるはずがありません。

父は、家庭のために今まで自分のキャリアを持つことができなかった母に、できるだけ財産を渡さないようにしていました。離婚の非は完全に父にあるのにも関わらず、もう充分苦しめられている母を攻撃し続ける姿を見て、失望しました。

最初は「昔の父に戻ってほしい」「心の底からこう思っている訳ではないはずだ」と無意識に期待していたように思います。でも、こちらが確信をつくことをいう度に無視をされ、「この人はまともじゃない」と諦めざるを得ませんでした。

死んでくれた方がマシだと何度思ったことか。父も、この生き恥を晒さなくてすみます。そして何より、母がこれ以上父の言動に苦しめられるのを見ていたくありませんでした。私自身も「父にこれ以上失望したくない、嫌いたくない」という強い思いがありました。

仲のいい家族だったので、父を嫌いたくないと思うのは自然なことだったと思います。しかも、私は性格が父に似ているという自覚があったので、父を嫌うことで自分を嫌うことにもつながってしまっていました。

こんなの嫌だったのです。つい最近まで家族全員で過ごしたあの楽しい日々が、こんな姿になってしまったという悲しみがありました。

でも、考え方を変えてから楽になりました。死んでくれた方がマシだと思っているのだから死んだことにすればいい」のです。昔の父は一度死んだ。今の父は別人です。だから今の宇宙人的言動をしているのも別人。

今の父のことは思う存分嫌えばいいんです。過去の父は綺麗なまま死んでいます。

今までの楽しい思い出を汚すことはしたくなかったんですよね。子供のころの思い出の中にいる父に対しては昔持っていた愛情と同じようなものがいまだにあるかもしれません。あの頃に感じた幸せを大事にしたい。なかったことにしたくない。

例え、あの時はまだ父親の本性が隠されていただけだったとしても、昔の幸せな記憶を否定する必要はありません。

人を憎むことには大きなエネルギーが必要です。自分を内側から蝕んでいきます。あなたがネガティブな感情を抱え込むほどの価値が彼にはありません。

私は、父親が別人になったと考えることで「嫌いたくない」と思いながら嫌うことをしなくても良くなりました。思う存分、嫌えます。そうすると、不思議と憎しみや悲しみが軽くなるんですよね。身内の言動だから、慕っていた父親の言動だから傷つくんです。それが他人の言動だったら、感情が変わってきますよね。

今まで慕っていた父のことはそのまま慕えばいい。もう会えないけど、幸せな思い出をなかったことにせず、大事にしていきたいものです。

そう簡単に考え方を切り替えられるものではないけれど、声に出して母と話しているうちに、「今の父は別人」と考えられるようになりました。もちろん、キレイさっぱりというわけではありません。今でも連絡が来るとストレスだし、昔を思い出して、酷い言動を思い出して涙することもあります。でも、今もなんだかんだ毎日笑って過ごしているし、幸せなので、まあいいかな。