「IT後進国」の日本が取り入れるべき教育:インター校で教えられたこと

日本には誇るべき技術がたくさんあります。
日本製品の質は高く安心感がありますし、世界からも需要があります。

でも、日本は「IT後進国」かもしれません。
高度な技術持っていて、素晴らしいものを作り上げられるのに、メディアリテラシーやパソコンに関する教育が行き届いてないと思うのです。

せっかく便利な技術があっても、それを利用する消費者が正しい使い方を知らないともったいない。

私は、高校でヨーロッパのインターナショナルスクールに転校したときにメディアリテラシーとテクノロジーの教育に感心しました。今後もっと必要になるインターネットやITを取り巻く技術をうまく育てていました。

この記事では、インターナショナルスクールでテクノロジーをどんな方法で教わったかを挙げていきます。

パソコン必須の宿題・授業

私が通った学校では、タブレット端末やパソコンが1人1台支給されていました。

卒業時に返却しないといけないものですが、それまでは完全に個人が管理していました。
学校がある日は、端末の充電を忘れるとお叱りを受けました。
それほど、授業に参加する上で必須なアイテムだったのです。

パソコンで何をしていたかをご紹介します。

インターネットで調べ物をする宿題

インターネットで調べ物をして、内容をまとめて提出するという宿題がよく出ていました。
私の印象に残っているのは、日本の高校から転校してすぐに課された「歴史の宿題」でした。

先生が重要単語をいくつか並べ、その概要を生徒が調べてまとめるというものでした。

インターネットで学問的なことを調べ慣れていなかった私は、5つくらいの単語の意味を調べるのに何時間もかかりました。(英語力不足も一因でしたが。)
同級生は、理解しやすいサイトを見つけ、信用できるソースの情報をサッとまとめていました。

わたしも転校して1年ほどで調べ物が上達しましたが、それまでが大変でした。
同級生は小さいころから欲しい情報を自分で探し出し、その発信源を意識する教育を受けていました。
だからメディアリテラシーを当たり前のように身につけていました。

メディアリテラシーは、インターネットに情報があふれる現代社において、なくてはならないものです。

本の学校では教科書を読み、先生の授業のノートを取るだけ。
これではメディアリテラシーは養われません。

昔は、情報を得るためには本などの文字を読めなければいけませんでした。
同じように現代ではインターネットで正しい情報を得るためにメディアリテラシーを身につけなければいけません。
この重要なスキルが学校で教えられていないことに危機感を感じるんです。

動画を作る宿題

生物の授業で、アプリを使って動画を作る課題が出されたことがあります。

タンパク質が作られる過程を、m&m‘s(カラフルなチョコ)などのお菓子を使って表現して、動画にします。その動画を提出して、理解度だけでなくオリジナリティも採点されました。

生物の授業の課題で、写真を組み合わせて動画を作る技術を身につけました。
どんな授業でも、テクノロジーは使っていたんです。

手書き不可のエッセイ

Microsoft WordやPagesでエッセイを書く課題もよく出ました。
自然とタイピングが速くなり、ソフトウェアの使い方も覚えました。

日本の大学で、Wordで作ったエッセイを提出したとき同級生の出来に驚きました。
教科書に丁寧な手順が書いてあるのにも関わらず、めちゃくちゃなレイアウトで提出している人が多かったのです。

Tabキーの存在を知らなかったり、タイトルを中央に揃える方法を知らなかったり、行間を調節できなかったり……。

大学に入るまでWordを使う機会がなかったから、学ぶタイミングがなかったのだと思います。しかも、大学に入ってから学べればいいのですが、マンツーマンで教授が教えるわけにもいかないので、結局曖昧なまま社会に出る人が多くなってしまいます。

Wordの最低限の機能は、中学校高校で簡単に教えたほうがいいと思います。
基本的なソフトウェアを使えないと、このご時世かなり不便ですよね。

Dropboxなどのアプリでのテキスト・レジュメの共有

教科書の代わりに、PDFファイルをクラスの共有ファイルにアップロードしていました。
また、スライドや、宿題をするためのテンプレートなどもアップロードしていました。

生徒が課題を提出する際も、指定されたファイルにアップロードする方法をとることが多くありました。

ちらっとしか見ないプリントを印刷・配布するよりも、先生にとって時短で、環境にも優しいです。使い方も簡単で、便利な機能がたくさんあるのに、日本の学校で使われていることが非常に少なく、違和感を感じます。

プレゼンテーションのスライド作りとクラウドの利用

プレゼンテーションを作る機会が多かったです。

プレゼンの機会については、暗記を重視する日本と、理解や表現を大切にする欧米の教育の違いだと思います。でも、日本でも社会に出るとプレゼンする機会はあります。
なのに学校では対して教えてもらえない。

読みにくい色合いで文字ばかり並べているスライドを国際社会で披露してしまうことになります。プレゼンする機会を少し設けるだけで改善するのだろうから、やらないのはもったいない。

また、グループ活動でGoogle Documentsなどのサービスを利用することもありました。時間を合わせてグループメンバーで集まらなくても、オンラインで、しかもリアルタイムでドキュメントの編集を共有できます。
課題に効率的に取り組むすべを知っていると、無駄を減らすことにつながります。

テクノロジーを教える授業

エクセルとプログラミングの基礎を教える授業

高校のときに、エクセルとプログラミングの基礎を教える授業がありました。

エクセルは、基本的な関数やショートカットを教わりました。
ワード同様、エクセルも欧米と対等に渡り歩くためには使えて当たり前なものだと思います。

プログラミングは、Hour of Codeというサイトを使ってゲーム感覚で取り組みました。プログラミングを扱う仕事への道を示すいい方法だと思います。

参考に:Hour of Codeのページ

日本でも、近年は習い事としてプログラミングが人気のようですね。

フォトショップラズベリーパイを使用する授業

フォトショップを使って、自分の好きなゲームの広告ポスターを作る課題や、ラズベリーパイにワードプレスをインストールする課題がありました。

ラズベリーパイは、超小型のコンピューターです。
詳しくはこちらのリンクに書いてあります。

生徒全員にメールアドレスを配布

生徒全員にメールアドレスがあてがわれていました。
なので、先生とのやりとりは全てメールで行なっていました。

先生に相談したいことがあるときはメールでアポをとり、用意してほしい書類があるときもメールでお願いしました。

この制度のおかげで、メールの書き方を覚えましたし、便利さも実感しました。

電話と違い、空いた時間に返信すればいいだけなので、時間を気にせずに連絡を取れます。
また、やりとりが文字に残るので、言った言わないのトラブルの防止にもなります。

いまだに、日本の学校への連絡手段はほとんど電話のみ。
メールアドレスを1つ作ってくれるだけでいいのです。

親と学校との連絡手段がメール

連絡事項はメールで送る

いまだに日本の学校では、子どもにプリントを配って保護者に渡してもらう制度ですよね。(もう変わったかもしれません)

子供が渡し忘れることもよくありますし、そのせいで提出期限に間に合わないことも多々あります。

メールという保護者と直接連絡を取れる手段があるのにも関わらず、あまりにもアナログな制度ですよね。

親にメールで連絡するようにするのは、比較的簡単に始められることだと思います。

成績もオンラインで確認

私が通った学校では、成績が学校のサイトにアップされていたので、ログインして確認することができました。

生徒自身も常に成績を確認できましたが、保護者も見られたので、子どもの様子を知るのにはいい制度だと思います。

未提出の宿題や、数日後にあるテストなども分かるので、管理に役立てることができます。

おわりに:「働きすぎ」の日本

日本のテクノロジーメディアリテラシーの教育の乏しさが、日本の「働きすぎ」の文化に拍車をかけている側面があると思います。

このご時世、テクノロジーを使って効率的な仕事をすることは可能です。

テクノロジーをうまく使えば時短になるのに、アナログで作業しているから無駄に時間がかかることは多いのではないでしょうか。

ワークライフバランスが取れた生活をしてプライベートが彩られると、仕事にも活力を持って取り組むことができます。「働きすぎ」の日本は、まずテクノロジーを使いこなせるように教育の現場を変えていくべきだと思います。

現状でテクノロジーを使いこなせない日本人が多くいるのは、日本人の出来が悪いからではない。日本人を育てる教育システムが時代に追いついていないのです。