セムラの魔法でシュークリームから乗り換えてしまった話

セムラの魔法にかかった。

昨日、初めてセムラを食べた。セムラはスウェーデンで人気のペイストリーで、1月後半〜3月前半くらいの期間にだけ販売されるもの。カルダモンが練り込まれたふわふわのパンに、クリームとアーモンドペーストが挟まっている。私はシュークリームが好きなので、見た目からしセムラも好きだろうなとは思っていた。でもセムラは期間限定で売られるのでうまいことタイミングが合わず、これまで食べられていなかった。

そして昨日「今年こそセムラを食べる!」と意気込んで、雪の中歩いて食べに行った。結果、さいっこうだった。シュークリーム大好きマンの私が、シュークリームよりも美味しいと感じた。正直今までスウェーデン料理で感動したことがなかったけれど、セムラは感動ものだった。

これがセム

まず一口目で驚いたのが、このたっぷり入っているクリームが無糖だったこと。全く甘くない。カルダモンパンもさほど甘くないので、甘さは基本的にアーモンドペーストから来ている。これが最高だった。甘さに疲れることなく、カルダモンの香りを楽しみながらペロリと食べてしまった。いや、美味しすぎて途中で踊ったり「ん〜〜〜」と言ったりしながら。笑

で、美味しいのは最高なんだけど、セムラの魔法は「期間限定」にあると思う。年中売られているわけではなく、年に1~2ヶ月しか売られない。だからセムラの季節が待ち遠しいし、季節が来たらできるだけ食べる。もし年中売られているものだったら、結局あまり食べないと思うし、ワクワクも減るはず。人の心理分かってるな〜〜〜と思っていたが、セムラが期間限定で売られているのはちゃんとした理由があるらしい。

昨日買ったセムラの袋に書いてあった情報によると、カトリック教ではイースターまでの40日間ほど断食をする。その断食前に脂質の多いものを食べて準備をするために生まれたのがセムラらしい。このセムラを食べる日はFettisdagenと言われ、英語だとFat Tuesdayとも呼ばれる。でも最初はクリームもアーモンドペーストもなくて、カルダモンのパンだった。昔は小麦粉が高価だったので、とても高価な食べ物だったと。

ちゃんと伝統的な理由があるのは分かったけれど、それでもセムラの季節のドンピシャ感がすごい。スウェーデンの冬は暗くて長い。11月や12月はクリスマスのイベントやワクワク感で乗り越えられる。でもその後も冬は続くので、1月や2月は気分が落ち込む人が多いらしい。そんな時期にセムラが期間限定で売られれば、私なら飛びつくし、楽しみなことの一つになる。さてはセムラ、最強だな???

セムラが並ぶパン屋さん