「中世都市 トルン」出たっきり邦人@ポーランド第10回

このエッセイは3人の子供を連れてポーランドに住んでいた母が、2008年11月に書いたものです。

「出たっきり邦人・欧州編」というメルマガで配信していた内容を、一部編集して紹介しています。

ポーランドワルシャワ発〓

ポーランド便り 第10回 「中世都市 トルン」

週末に1泊旅行に出かけました。

13世紀初頭から栄えた都市トルンはワルシャワから車で3時間のところにあります。片道210kmです。一応、旧市街が世界遺産になっているものの、最近乱発気味の世界遺産のタイトルにはあまり期待していないので、「近いから」という理由でふらっとでかけました。

ところが、結構いい街ではないですか。昔世界史できいた覚えのあるハンザ同盟に加盟していた由緒のある都市だそうです。ワルシャワの戦後再建された旧市街とは違い、14世紀に栄えたこの街は700年の歴史をしっかりと感じさせてくれます。城壁に囲まれ、ヴィスワ川岸にそびえたつ古い街です。

こじんまりとしているものの、13世紀ごろにたてられたドイツ騎士団の城跡まであり、「ドイツ騎士団ってなんだっけ?」、なんでこんなところに城をたてて、しかもその後14世紀に街の人たちの蜂起によって、城を壊されているんだ?と、にわかに歴史にも興味が出てきました。

そして、トルン出身の有名人はなんといってもコペルニクスです。

コペルニクスって、聞いたことあるし、天体のことに関係あるような気がするけど、何をした人?というのが、一般的だと思います。彼はガリレオよりも前に地動説を唱えた人です。ただ彼の著書が発表されたのは1543年5月23日、そして彼の死んだのは翌日です。別に自殺したわけではなく、死ぬ寸前まで、この本を世に出すのはためらったということらしいです。ガリレオは同じことを50年後に唱えたために投獄されていますから、コペルニクスの心配はもっともなことだったのでしょう。

トルンの名物は「ピエルニキ(ジンジャーブレッド)」です。ちょっとスパイスの効いているやわらかいクッキーというのが、私の感想です。スーパーで売っていたものを以前に試したときはもっとスパイスが強かったように感じたのですが、今回トルンの人気店で試したものはスパイスもマイルドでおいしかったです。こういう地方色のあるものがあるのもうれしいですね。旅行に来たという感じがします。

レストランでの食事も割高感のあるワルシャワに比べると安く、おいしく、大満足でした。近くの森で散歩した際に採ったきのこを、子供たち自らバター炒めにして食べ、旅の余韻も楽しめました。予想外においしかったです。

ちゃんと食べられるきのこかどうかは、同じくきのこ狩りで森をさまよっていたおばさんに確認したので、ご心配なく。無事家族全員生存中です。

ただ、道路状況があまりよくないので、がたがたな部分も多く、また対面通行がほとんどなので、あまり快適なドライブとはいえないのが難ですね。

そういえば話は変わりますが、ポーランドで「気候変動枠組み条約締約国会議」というのが12月に開催されます。これはワルシャワではなく、地方都市のポズナンという場所です。ニュースで街並みがうつったりするのかしら?

機会があったら、見てみてください。ポーランド、いいところですよ。かなり田舎ですけど。