「ポーランドの食材事情」出たっきり邦人@ポーランド第13回

このエッセイは3人の子供を連れてポーランドに住んでいた母が、2009年3月に書いたものです。

「出たっきり邦人・欧州編」というメルマガで配信していた内容を、一部編集して紹介しています。

ポーランドワルシャワ発〓
ポーランド便り 第13回 「食材事情」

春がきた!
と思える日が来たと思ったら、雪がつもったり、また太陽が何日も隠れてしまったり、なかなかいい季節にはなってくれませんが、それでもこのメルマガの翌日には、夏時間になります。楽しみ。

今回は、食材事情をお伝えします。
まずは穀類より。お米は普通のスーパーでも長いものから短いものまで、いろいろ売っていますが、もちろん日本人がご飯として食せるようなものは、日本食材店に行ったほうが安いので、そういうところでアメリカからの日本米を買います。先日はスペインからの日本米もみかけました。

と、日本食材店とよんでみたものの、日本人経営のものはなく、2軒ある両方とも韓国人経営ですし、韓国のものを中心に取り扱っています。大きさも、日本の普通のコンビニくらいの大きさに、その20分の1くらいの種類のものが3倍の値段で売っている感じでしょうか?

野菜は、スーパーや市場で新鮮なものが手に入ります。白菜は普通にどこのスーパーでも売っていますが、大根は売っていたり、売っていなかったり。せっかく見つけてもしなびていたり。それでも、あるだけいいです。ごぼうはないし、炒め物につかうような青い中国野菜はあまり見かけません。

豆腐はまだポピュラーではないので、数少ないアジア食材店で買います。
キャベツもちりめんキャベツ、普通のキャベツ、紫キャベツなどありますが、普通のキャベツも日本のキャベツと同じなわけではないので、あまり千切りキャベツをぼりぼりといったこともしません。葉が固いので、コールスローにしたり、煮込んだりするのが中心かしら。

お肉は、豚、鶏、牛などありますが、どれも新鮮でおいしいです。ソーセージ、ハムはものすごく種類が多く、最初の夏の子供たちの自由研究で「すべての種類を食べて、感想を書く」と頑張ったのですが、途中で挫折してしまいました。

ただ、薄切り肉がないんですよね。アメリカでは、日系のスーパーで売っていたし、フィリピンでもケニアでも店先でスライスをしてもらっていたので、入手可能でした。

フィリピン、ケニアに関しては、まず「ハムくらいの薄さにスライスしてください」と、いうと、大体厚すぎたり、薄すぎたりするので、そのつど「もっと厚く(薄く)」などと指示して、「これだっ」というサイズになったら、「じゃあ3kgスライスしてください」と、大量に買って冷凍しておく、という感じで生活していたのだけれど、それは英語の通じる国だったから・・・。

ここでは、そんな交渉ははなっからあきらめております。一応、スライサーは持っていますが、面倒なことは苦手。肉も半解凍したときにスライスするといい、という知識はあっても、待ち時間にちょっと別のことをすると、凍りすぎたり、とけすぎたり。薄切り肉がないと、料理の幅が狭くなるんですよね。

そして、ポーランドは粉の種類が多いです。オールパーパスの粉(中力粉)と強力粉の違いだけではなく、ちゃんと薄力粉が売っています。砂糖も、海外ではグラニュー糖が中心だけれど、細引きグラニュー糖も売っているし、ざらめもね。でも日本の上白糖のようなものはないし、黒砂糖もないかな。ちなみに黒砂糖は、ケニアでは大きな塊で売られていました。割るのは大変でしたけど。

そして、一般的な片栗粉(本当の片栗粉でなくて)と言えば、ジャガイモのでんぷん。今までの生活では当然のようにコーンスターチで代用していましたが、なんとポーランドではジャガイモでんぷんが普通に売っています。っていうか、コーンスターチを見つけるほうが大変です。このジャガイモでんぷん、売り場の大きな場所を占めておりますが、みんな何に使っているのでしょう?

そして海外生活であきらめていたのが、マヨネーズ。日本のものは少し酸味が強くて独特なので、海外もので代用するのはあきらめておりましたが、ここで日本のマヨネーズに近い味のものを見つけました。これは、これからも続くかもしれない出た邦生活を考えると、大発見!別の国でポーランド食材店に行く日がくるかもしれません。

先日感じたポーランドっぽい品揃えといえば、パンを作るときに使うイースト菌です。品揃えの少ない近所の小さな店にまで、生イースト菌が売っていました。さすがパンの国。

ヨーグルトも種類が多いですね。ケフィア菌のものも必ず見かけますし、サワークリームも濃度別にたくさん売られています。チーズも種類が多すぎて、結局はいつも同じものを食べています。今はインターネットでいろんな国のレシピが手に入りますが、ただ単に「1カップ」といっても、それが日本では200ml、欧米では250mlという違いもありますし、「砂糖」によっても甘みやでてくる水分量がちがったり、塩でもその国が岩塩中心なのか、海の塩中心なのかでも味がかなり変わってしまいますよね。
気をつけながら、結局は自分の舌で調節するのが一番だと思います。

日本人がキャベツの千切りを生で食べるときいて、ポーランド人がここのキャベツを思い浮かべていたら、「えーっ、あんな固いの食べるの?」って、思いますし、それこそ生の魚を食べるのも魚が新鮮だからこそ。最近は日本食も一般的になってきましたが、新鮮な魚を見たことがないような人が、魚を生で食べることを嫌がるのは当然ですよね。私だって嫌だわ。

こちらはそもそも魚の種類も少ないですが、臭いが出てしまっているようなことも多いので、西洋料理にハーブ料理が多いのも納得です。臭いを消さないと食べられません。

先日、ケニアから持ってきたスパイスミックスの袋のレシピを見ていて気がつきました。そのレシピには、「チキンを小さくきる(Cut in small pieces)」と書いてありました。一瞬、思い浮かんだのは一口大サイズ。でも今まで食べたことがあるのもそのレシピの写真もぶつ切りになった骨付きの肉。そうよね、チキンを一羽丸ごと買うような国では、チキンを小さく切るといっても一口大になるわけないわ。食べやすいサイズに、ぶつ切りにする感じですかね。

そういえば、海外生活はじめは「ささみが売ってない!」とささみを探し、ささみが胸肉にくっついているのをみつけてびっくりし、ひとパック買ってもささみ2本しか手に入らないんだ、と学習しました。今となっては、なんであんなにささみが欲しかったのかは、よく分からなくなってしまっているくらい大雑把に成長しました。

でも、鶏肉の羽はやっぱりちゃんととっておいて欲しいのですよね。必ず何本かは残っていて、自分でむしらなくてはならないのも・・・、ね。こんなことも、しばらくすると何でもなくなっちゃうのでしょうけれど。
レシピどおりに作ってみてうまくいかない場合は、もしかすると材料そのものが違うのかもしれません。キャベツといっても一緒ではないし、ソーセージもポーランドでは日本ではなかなか売っていないようなものかもしれない。

日本にいるポーランド人も、ポーランド食が懐かしいみたいです。パンを家族に送ってもらったという元留学生の話も聞いたことがありますし。

今回はとりとめのないレポートになりました。
それではまた。