「やっぱりクリスマス」出たっきり邦人@ポーランド第3回

このエッセイは3人の子供を連れてポーランドに住んでいた母が、2007年12月に書いたものです。

「出たっきり邦人・欧州編」というメルマガで配信していた内容を、一部編集して紹介しています。

ポーランドワルシャワ発〓

ポーランド便り 第3回 「やっぱりクリスマス」

ポーランドは前法王ヨハネパウロ2世を輩出したカトリック大国。クリスマスは1年を締めくくる大事な行事です。でもあまり派手な飾り付けをしている家はありません。外の木に電飾を付けている家が珍しいくらいです。

冬が長く厳しい国では、クリスマスという行事は必要不可欠だと思いませんか?12月25日だけではなく12月いっぱい楽しめる行事。なんだか、わくわくしますよね。
うちも早速11月にツリーを購入して飾りました。ちょうど観葉植物もなかったので観葉植物代わりに。
なまの木は面倒だという先入観がありましたので、にせのツリーを購入。
でもこの偽のツリーの5分の1の値段で同じ大きさのなまの木が売っているではないですか。
こんなことならば、なまの木で飾ってみるのもよかったかな。うーん、残念。

子どもたちは、アドベントカレンダーを楽しんでいます。
これは、12月1日~24日まで1日ずつ小窓をあけてクリスマスが来るのを待つカレンダーです。
今回購入したのは、中にチョコレートが一粒ずつ入っているもの。
24日の小窓だけ大きいので、24日には大きいチョコレートが入っているんだ、と今から楽しみにしています。

そして家の大掃除もこの時期にします。
だから、スーパーでは掃除グッズが安売りしていたりして、なんだか少し日本の大晦日を思い出します。クリスマスイブの晩餐のための食料品の買出し、家の飾りつけ、帰省、とポーランド人にとっても師走ですね。

12月にはいってから肉食をしない家庭もあります。
どれくらいの割合かは分かりませんが、周りにもそういう人がいるということは、まだ信心深い人たちが多いのでしょう。12月24日の晩餐も、いろいろな決まりごとがあります。
まず、料理の品数ですが、12使徒にちなんで12種類もしくは13種類の料理が用意されます。この中には、鶏肉も含め、肉は使いません。その代わり、鯉やにしんなどの魚が使われます。

クリスマスイブの晩餐の代表的なメニューとしては、マッシュルームスープ、ピエロギ(見た目は水餃子)、魚料理、けしのみのケーキ、ドライフルーツのコンポートなどです。大地のもの、森のもの、水のもの、などすべての要素を入れた料理を作ることが大切だとされています。

テーブルセッティングは、白いテーブルクロス。その下に、ひとつかみのわらを入れます。地域によっては、わらを敷いたテーブルの上にテーブルクロスをかけるようです。もうお分かりですね。これは、馬小屋で生まれたキリストにちなんでおります。

そして、皿などは必ず人数よりもひとり分多くセッティングします。これは、誰か急な来客があったときのために、また休日を一緒に過ごせなかった友人への思いをこめて、空席をひとつ用意するそうです。主婦としては、ここまでがクライマックス。いったい、どれくらいの労力がかかるのでしょうか? 12種類の料理・・・、これは大変だわ。

そして、晩餐は空に一番星が光ったのを見てから、はじめます。

もともとはアルコールも禁欲する日ですが、今はそこまで守っている家庭は少ないようです。
ポーランド独特の風習もあります。晩餐を始める前に、オプワテックという白いウェハースを各自1枚(10cmx5cmくらい)持ちます。これは通常教会でみかけるものです。
そして、一人一人と向かい合って祝いの挨拶を交わし、キスし、相手のオプワテックを小さくちぎって、自分で食べます。集まった全ての人と挨拶をしたら、いよいよ晩餐開始です。

プレゼント交換をし、夜中の12時につまりは12月25日の始まりに教会にミサに出かけます。
寒くて出かけたくなければ、テレビでのミサ中継もあるので、それで済ますことも可能みたいですよ。
これなんて、初詣に夜中に行くのや、除夜の鐘をテレビで聞くのににていますよね。
25、26日は、これまた日本の正月に似ています。親戚をたずねて、挨拶をするそうです。
肉料理解禁なので、肉料理がたくさん並ぶみたいです。人を訪ね、料理を食べ、お酒を飲み、おしゃべりをする。なんだか、私の子ども時代のお正月の風景が重なります。そして27日からは、通常に戻りますが、今度はすぐ大晦日。しばし、胃袋を休憩させて、今度は新年を祝います。

このメルマガが配信される時間に、ちょうど成田に到着予定。
久々に日本でお正月を迎えることができます。

友達に会って、食べて飲んでおしゃべりをして、幸せな時間をすごす予定です。
やっぱり、冬は故郷が一番。でも大掃除は、私が帰るまでに終わっているといいな。
今年が始まったときにはケニアに住んでいて、転勤を予想していなかったわけではないけれど、まさかポーランドに来るとは思っておりませんでした。来年はまだポーランドにいる予定なので、落ち着いてポーランドのことをもっと知りたいと思っております。

今年一年、ご愛読ありがとうございました。
来年もまたよろしくお願いします。よいお年をお迎えくださいませ。