「サファリ報告!怖い体験」出たっきり邦人@ケニア第3回

このエッセイは3人の子供を連れてケニアに住んでいた母が、2005年6月に書いたものです。

「出たっきり邦人・中南米・アフリカ編」というメルマガで配信していた内容を、一部編集して紹介しています。

ケニア共和国・ナイロビ発〓

ケニアよもやま話 第3回 「サファリ報告」

ケニアといったら、サファリ。
昔テレビで見ていた「野生の王国」のイメージです。今回、私たちのサファリ体験をお知らせします。

まずは、一番の近場、「ナイロビ国立公園」。
ここは市の中心部からも車で20分ほど。日本人学校のある場所からだと車で5分ほどのところにあります。ケニアで一番小さな国立公園らしいけれど、朝7時に入園して、お昼ご飯を途中のピクニックエリアで食べて、昼1時ごろに疲れきって退園しましたが、それでも全ルートをまわったわけではなく、かなりいい加減なまわり方をしていたので、レクリエーションとしては充分な広さだといえると思います。

ここの公園は、ナイロビ市内の高層ビルをバックに動物達が見えます。
上空もナイロビ空港に発着する飛行機が通ったりしていました。
以前、夫がナイロビに到着するときに上空から鹿らしきものが見えたらしいのですが、そんな小さなものが見える高さではなかったので、あれはキリンだったのだろう、と言っておりました。

そう、キリン、シマウマ、ガゼル類は最後には飽きてしまうほどたくさんいます。
ダチョウ、ホロホロチョウ、エランド(大型の鹿)などもまあまあみられます。
我が家はまだ、かば、さい、ひょう、チーターは見たことがないのですが、それらもこの国立公園内にいます。

ライオン!は見ました。
車が来たからと言って逃げることもなく、すたすたと歩いておりました。

ナイロビ国立公園はサバンナが多い国立公園で見晴らしもよく、あまり危険を感じることはありませんでしたが…、北に3時間ほど行ったところにある「アバーディア国立公園」はケニアでは珍しい森林型の国立公園です。山好きの私たちは喜んで、雨の降った翌日に出かけました…。
そして、サファリの怖さを知ったのです。

子供がどうしても象が見たい、ということで、象に会いに出かけたのですが、まず入り口のところでレンジャーが「昨日も道に迷い、出てこられない車が一台あった。今朝、連絡を受けて迎えに行ったところだから、あなた達も気をつけるように。」と、レンジャーの携帯電話番号をくれた。
えーっ、大型動物がうようよいる場所で、子供3人と野宿なんて嫌だぁー、と一気に不安に。
でも、「♪サファリ♪サファリ♪」と、後部座席からは子供達の歌声が…。
わかりましたよ、行きますよ。

本当に、今までのサバンナとはうって変わって、深い森の中に突入。
もちろん、道路は舗装されていないので、ぬかるんでいるし、しかも山なので坂道がある。
朝早く行ったので 、私たちの前に轍がない。すべるー。きゃー、落ちたらどうなるの?やっぱり、死ぬ?こんなところで死にたくなーい。と、母は一人で心中はらはらしっぱなし。

そうこうしているうちに、目の前に草原が、そしてそこには無数のバッファローが、見えた。
そして、私たちの進んでいる道はその真ん中を突っ切っている。えーっ、今、坂をあがったばかりだから、これをバックで下がるのは無理、ということはこのバッファローの中を突っ切るの?
だって、道の真ん中で何頭もくつろいじゃってるよ。しかも、なんだかみんなこっちを見てるし…。

そろそろと道を進んでいくと、案の定、見張り役みたいなバッファローがこっちを威嚇し始めた。
今にも向かってきそう。子供達は大喜び。親は、とにかく逃げることしか考えず、後で写真を見たら写真がなかった。
だって、あんなでかいのぶつかってきたら、車倒れそう。
バッファローって、凶暴だってそういえば誰か言っていた。やばー。

と、もうバッファローはこりごり。
やっぱり大型動物は怖いねぇー。などと話していると、ぷんぷんと動物園のにおいがし、道路にはこれはやっぱり象の糞だろう、というような大きさのものが、まだ新鮮なまま落ちている。
雨の後は、動物達も道があったほうが歩きやすいので、道路に出てくるよー、とレンジャーの人が言っていたことが思い出される。

「うんち、くさいねー。近くにいるかもねー。」などと話していたら、10mくらい前を象が横切った。1頭、2頭、3頭、そして小象も、そしてその後に2頭ほど。
「小象、かわいいー」と、思う反面、「子供がいる群れは危険。親はナーバスになっているから。」という言葉も思い出され、またまた親は凍りつき、子供達は大興奮。
いつも以上に真剣に「静かに!象さんのお母さんが、怒るよ!」と子供達が奇声を発しないように注意。

道を渡りきって、森の中に入ってもまだ大人の象が一頭、こっちを睨みつけている…。
でもね、あなた達がたたずんでいるその横の道を通らなくては、私たちも帰れないの。
早く、もっと奥に入ってぇー。これが、サバンナだったら逃げ道はたくさんあるものの、この山道では道からそれる」のも危険。
以前に、象に「パオーン」と威嚇されて、バックで必死に逃げた人の話も聞いたけど、確かに野生の象に威嚇されるのは怖いことが、身をもって体験できました。

ライオンなどは車の中にいる限り、安心できるけど、バッファローや象は車の中にいても、怖い。
車ごと、破壊されちゃうよね、きっと。あー、怖かった。
でも、アバーデアでは象にその後も会うことが出来(その後は小象なし)、大満足。
公園から出たときには、ジェットコースターからおりたときのような、満足感が味わえたのでした。
緊張したー。
とりあえず、今日はここまで。サファリ報告でした。