スウェーデン語のYESは「シュッ」の呼吸音(まじで)

私は今スウェーデン語を勉強中です。ドイツ語などと比べると文法が簡単で英語と似ているところもあるので、スウェーデン語は比較的学びやすい言語だと思っています。発音は難しいところもあり、イントネーションが違うとスウェーデン人はなかなか理解してくれないのでそこがネックですが、練習でなんとかするしかないのでしょう。

スウェーデン人は英語が上手な人も多いので、職場で英語で話していると誰がスウェーデン人で誰が移民か分からないこともしばしば。でも「アレ」をする人はほぼ100%スウェーデン人です。「アレ」とは、YESの代わりに息を吸うことです。

最初ネットでこの情報を見たときは、冗談だと思いました。笑 でも本当に、YESの代わりに息を吸うんです。シュッと素早く息を吸うことがYESを意味します。特に北スウェーデンの人が使うらしいです。もちろんYESを意味する言葉(「Ja」発音は「ヤ」)もありますが、日常的に息を吸うことで同意を示すと聞いて、なんてユニークな言語なんだと驚きました。

でも私は勝手にいわば東北弁のような他の地域の人からしたら理解が難しい感じの立ち位置だと思っていました。実際に私は今南スウェーデンに住んでいますが、息を吸うことでYESと言っている人には会ったことがありません。

でも、最近気づきました。チームメイトのスウェーデン人が「Ja」と言うと同時に息を吸っていること。ていうか「Ja」の声がほとんど出てないのでほぼ息吸ってるだけ。この人の癖のようなものかと思っていましたが、他のスウェーデン人もやっているのを聞いて「まさかこれ、あのシュッってやつの派生?」と気づいたのです。

で、YouTubeで調べてみたら、そうでした。「Ja」と同時に息を吸うの、あれ、スウェーデン語だったんですね。ぜひ動画で聞いてみてください。

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ちなみに余談ですが、スウェーデン語では「アァ」もYESを意味することが多いです。この動画でも最初のほうに出てきますね。私のパートナーはスウェーデン語でのコミュニケーションに慣れているので、私の祖母(日本語しかできない)に初めて会ったときに相槌として「アァ」と言っていて、思わず止めました。笑 日本人からするとちょっと雑なイメージですよね。

かく言う私も「アァ」と言うチームメイトやパートナーに影響されてたまに自分もYESの代わりに「アァ」と言っていることに気がつきました。やばい!今はまだ英語を話すときにうっかり出るくらいですが、日本語を話しているときに「アァ」と相槌を打つようにはならないように気をつけます。笑

以上、スウェーデン語のおもしろ相槌でした!

スウェーデンでは鶏むね肉に塩水が注入されている衝撃事実!

スウェーデンに来てから、鶏むね肉に驚かされています。鶏むね肉なんて、万国共通かと思っていました。鶏の種類が一緒なら鶏むね肉も一緒でしょ?って。

でも、こちらで鶏むね肉を調理すると異常なほど水が出るんです。一口サイズに切ったお肉をフライパンで炒めると、いつの間にか「あれ?私お肉茹でてるんだっけ?」となるくらい水で溢れます。

これを見たパートナーが「こんなにお肉に水が注入されてるんだね」と言ったのを聞いて「またまた何を言ってるんだ」と笑い飛ばそうとしたら、どうやら本気で言ってるらしい。冷凍のものを買っていたのでパッケージを見ると、なんと原材料は「82%鶏むね肉、17%水、塩、砂糖、安定剤」でした。ええーーーー。重量で値段が決まるから、これって量増しってこと?

調べてみるとプランピング(plumping)と呼ばれる処理で、製造側の主張としてはより美味しく、よりジューシーなお肉になるというものらしい。でも実際はまぁ多分量増し目的で、塩分の摂りすぎにもつながります。スウェーデンだけではなく他の国でも起きていることだと思いますが、日本の純粋な鶏むね肉が恋しいです。。笑

ちなみに日本では鶏むね肉は節約に大活躍のお安い部位だと思いますが、こちらではお値段高めの部位です。ドラムスティックのほうが安いです。多分、むね肉は脂肪分が少なくてヘルシーな分人気も高いんだと思います。

と、鶏むね肉の衝撃事実を知ったこの頃ですが、できるだけお肉の摂取量を減らすようにしています。赤身肉は慢性炎症につながるので必ずしも体に良いわけではありませんし、どうしても環境破壊や動物たちの置かれる状況について気になってしまうからです。

でも日本にいたときよりもお肉の摂取量は増えています。これは食生活の違いと、豆腐が高くて日本ほど美味しくないこと、あとは一緒に住んでいるパートナーが身長195cmの大男なので必要なたんぱく質の量が多い、という理由です。少しずつ豆類やたまご、お魚を使った料理をマスターしたいですね。グリーンレンティルとひよこ豆は冷凍庫に常備してありますが、まだ2パターンくらいしか使い道がありません。笑 日々試行錯誤しながら、衝撃も受けながら、海外生活を楽しもうと思います。

スウェーデン企業が徹底しているスキルトランスファー。誰でも休める環境づくり

私はスウェーデンの現地企業でソフトウェアエンジニアとして働いています。こちらで働いていて一番感心しているのが「スキルトランスファーの徹底」です。今回は少しスキルトランファーについて語ってみたいと思います。

スキルトランスファーとは、業務や知識を後輩や他のチームメンバーに引き継ぐことです。「特定の人だけができる作業」が減るので、業務が属人化しません。人の入れ替わりがあっても支障が出にくく、誰でも長期休暇を取りやすくなるなどのメリットがあります。

具体的にどんな業務がトランファーされているのか?

私はエンジニア歴2年弱くらいの新人ですが、他のチームメンバーと同じく以下の業務に携われます。

結構すごくないですか?本番環境に直接影響がある業務も自信を持って実行できます。これはスキルトランスファーが徹底しているカルチャーのおかげです。

実際に感じるスキルトランスファーのメリット

会社や製品にも寄るとは思いますが、日本で働いていた会社ではテックリードだけがこのような作業をしていました。結果として、テックリードがお休みのときは他の人がやろうと思っても

  • 必要な権限・アクセスがない
  • 普段からやっていないので勝手が分からない

という困った状況になっていました。テックリードは有給を取るタイミングを見計らわないといけなくて、残業も他の人と比べて極端に多い事態。でも今働いているスウェーデン企業では、普段からいろんな人が業務を行なっているので、誰が休んでも大丈夫です。実際に先月テックリードが1ヶ月不在でしたが、特に問題はありませんでした。

また、個人のスキルアップにもつながっています。仕事の幅が広がり、ソフトウェア開発の全体像も見えるようになって、エンジニアとしてレベルアップした気がしています。

どのようにスキルトランファーを行っているのか?

誰でも業務を実行できるようにするには、環境を整えることが大事だと感じます。実際、今働いているチームでは、

  • 必要な権限はチーム全員付与されている
  • 誰でもシンプルにできるように手順が自動化されている
  • 丁寧なHow-toドキュメントがある
  • 失敗したときのリカバリーシステムがある

このような環境が整っているので、どんなスキルセットの人でも少し慣れればすぐにできるようになります。例えば本番環境へのリリースはクリック一つで終わります。何かエラーが出たら、一つ前のバージョンにロールバックするのも簡単です。

ちなみに、このドキュメントや自動化に使用しているGitHub Actionsなどを作るのもチーム全体でやっています。裏で何が起きているのかまで全員が理解しているんです。ただ単に自動化されているものをクリックするだけだと、何かエラーが起きたときに対応できませんが、ちゃんと対応できるくらいの理解度があるので大丈夫です。

最近で一番感心したのが、DRPまでチーム全員ができる状況にしていたこと。データベースをバックアップから復旧させて他のリソースとつなげる作業を、チーム全員が行いました。

しかも

  • このステップが複雑すぎるから他に方法がないか
  • このステップをすると他の作業も合わせてやらないといけなくなる

などのディスカッションも行い、開発環境で実験して、実際にディザスタが起きたときに簡単に復旧できるようにDRPも改善しました。

実際にディザスタが起きたときは誰が対応しないといけないかは分かりませんし、ストレスもかかっている状況なので普段からやっていないことはできません。手順もできるだけシンプルにすることで失敗のリスクも減らしています。

また、普段からテックリードが「この作業するけど、一緒にやる?」と新しいことを吸収する機会をくれます。横で見るだけでも、何もしたことがないよりは理解が進むのでとても助かっています。(それにしてもこの声かけができるうちのテックリードは優秀です。)

スキルトランスファーが作るカルチャー

最後に、スキルトランスファーを徹底することで職場のカルチャーも良くなっている気がします。卵が先か鶏が先か、という話でもありますが。

  • テックリードも含め、誰とでも対等にディスカッションができる
  • 誰でもいつでも休める
  • 自動化が進むので効率的

チーム全員が対等に意見を出し合うカルチャーがあると、ミスも減り、気づきも多いです。意見を出すことを求められるので、普段から「自分には関係ない業務の話だな」とはならず(日本の会社にいたときはよくありました)ちゃんと話を聞いて考えています。自分のスキルに自信を持てるようにもなりました。

スキルトランスファー、かなり大事です。

グッドニュースも束の間、大量解雇のお知らせにがーん

グッドニュースとバッドニュースが同時に入ってきて複雑な気持ち。結論から言うと、試用期間が終わって無期限雇用にパワーアップしたのがグッドニュース。いぇい。バッドニュースは、社員の15%が削減される大量解雇が宣言されたこと。いや複雑〜〜。

試用期間が終わったと書きましたが、まだ試用期間の6ヶ月満了していません。でもフィードバックが良ければ早めに無期限雇用になることもあるみたい。私の場合、労働ビザの期限が切れてしまうので更新できるように早めに判断を下してくれたんだと思います。最初は試用期間分しか労働ビザが発行されず、そのあとは2年ごとに更新する仕組み。

この判断をするに当たってマネージャーが私に対するフィードバックを集めてたみたいで「改善すべきところがあればここで伝えてサポートするんだけど、何もなかった」と言われて有頂天。わーい。私はチーム内でダントツにエンジニア歴が短くて自分のスキルに自信が持てない時期が度々来るので、この評価は嬉しい限りです。

マネージャーに近況を伝える中で、チームメイトのおかげでスウェーデンの生活に適応できているなと再確認。イラン人やサウジアラビア人、インド人、移民第二世代のスウェーデン人、生粋のスウェーデン人、いろんなバックグラウンドの人がいるチームで、移住した経験がある人と話せるのは結構心が軽くなる。よくジョークを言って笑い合うし、オフィスに行けば2時間くらい駄弁っているし、いいチームに恵まれています。

と、しんみり再確認したところで突然やってきた大量解雇のお知らせ。業績があまりにもよくないので、スタッフを15%解雇するんだって。業績が良くないことは知っていたけれど、去年も15%人員削減しているので社内は「またか、、」ムード。15%って結構な人数だなぁとか、自分が解雇されなくても自分の周りにいる人が解雇されるの嫌だなぁとか、いろんな気持ち。

でも現実的な話をすると、私は経験も少ない分もらっているお給料も他のメンバーと比べてかなり低いので、私を解雇したところで大したコストカットにはならないはず。とはいえいなくなっても大した影響はないポジションでもあるので、どうなるのかは全くわかりません。試用期間終わった!無期限雇用だ!ちょっと安定が手に入ったぞ!と思った翌日にこのニュースなので、世の中本当の安定なんてないんだなとしみじみ。

ハラハラさせてくれるな、人生。

もし新しく仕事を見つけないといけないとなると、他に英語で仕事ができるところが見つかるのかという不安があります。私はスウェーデン語をまだ話せないので、英語でコミュニケーションが取れる職場じゃないと難しい。スキル的には資格を増やしたりなんだりでカバーできるかもしれないけど、語学は数ヶ月じゃ身につかないからなぁ。普段から安定なんて眉唾ものと考えて、スキルアップをしないといけないんですね。今晩スウェーデン語のドラマでも見るかぁ。。

3週間前くらいの寒い日に撮った記事とは関係ない写真

セムラの魔法でシュークリームから乗り換えてしまった話

セムラの魔法にかかった。

昨日、初めてセムラを食べた。セムラはスウェーデンで人気のペイストリーで、1月後半〜3月前半くらいの期間にだけ販売されるもの。カルダモンが練り込まれたふわふわのパンに、クリームとアーモンドペーストが挟まっている。私はシュークリームが好きなので、見た目からしセムラも好きだろうなとは思っていた。でもセムラは期間限定で売られるのでうまいことタイミングが合わず、これまで食べられていなかった。

そして昨日「今年こそセムラを食べる!」と意気込んで、雪の中歩いて食べに行った。結果、さいっこうだった。シュークリーム大好きマンの私が、シュークリームよりも美味しいと感じた。正直今までスウェーデン料理で感動したことがなかったけれど、セムラは感動ものだった。

これがセム

まず一口目で驚いたのが、このたっぷり入っているクリームが無糖だったこと。全く甘くない。カルダモンパンもさほど甘くないので、甘さは基本的にアーモンドペーストから来ている。これが最高だった。甘さに疲れることなく、カルダモンの香りを楽しみながらペロリと食べてしまった。いや、美味しすぎて途中で踊ったり「ん〜〜〜」と言ったりしながら。笑

で、美味しいのは最高なんだけど、セムラの魔法は「期間限定」にあると思う。年中売られているわけではなく、年に1~2ヶ月しか売られない。だからセムラの季節が待ち遠しいし、季節が来たらできるだけ食べる。もし年中売られているものだったら、結局あまり食べないと思うし、ワクワクも減るはず。人の心理分かってるな〜〜〜と思っていたが、セムラが期間限定で売られているのはちゃんとした理由があるらしい。

昨日買ったセムラの袋に書いてあった情報によると、カトリック教ではイースターまでの40日間ほど断食をする。その断食前に脂質の多いものを食べて準備をするために生まれたのがセムラらしい。このセムラを食べる日はFettisdagenと言われ、英語だとFat Tuesdayとも呼ばれる。でも最初はクリームもアーモンドペーストもなくて、カルダモンのパンだった。昔は小麦粉が高価だったので、とても高価な食べ物だったと。

ちゃんと伝統的な理由があるのは分かったけれど、それでもセムラの季節のドンピシャ感がすごい。スウェーデンの冬は暗くて長い。11月や12月はクリスマスのイベントやワクワク感で乗り越えられる。でもその後も冬は続くので、1月や2月は気分が落ち込む人が多いらしい。そんな時期にセムラが期間限定で売られれば、私なら飛びつくし、楽しみなことの一つになる。さてはセムラ、最強だな???

セムラが並ぶパン屋さん

金曜日、スウェーデンのゆっくりした時間の流れを感じた

少しずつスウェーデンの生活スタイルに慣れてきた移住7ヶ月目、この時間の流れがゆっくりなところが好きだと感じた。今日は一日中、チームのみんなと協力しながらワークショップ的なスタイルで仕事をしていた。金曜日なので午後になると「週末は何をするの?」と話し出す。みんなが疲れ始めてきた15時くらいには、デプロイ中のログを眺めながら「疲れたね。金曜日だからそろそろ終わろう」と、デプロイに失敗して赤いエラーになったのを見届けてから解散した。

東京で働いていたころなら、そもそも週末の予定についてチームメンバーと話すことがなかった。そしてもちろん、エラーを放置して15時半に退勤することもなかった。でもこれが正解だと思う。1週間の疲れと1日の疲れが出てきているときに続けても、誰もいい気持ちがしない。月曜日にフレッシュな気持ちで始めたほうがいい。疲れたときには「疲れてきた」と隠さずに言える環境がいいなと思った。

退勤後、私はとりあえず散歩に行った。最近の日の入りは16時くらいなので、退勤後まだ30分くらいは明るい。ちょっとでも日の光を浴びたくて、最近は散歩に行くことが多い。毎日のように晴れている東京の冬とは違ってどんよりした天気の日が多いけど、空気が美味しいし、積極的に日の光を浴びないと気分が落ち込んでしまうらしいから。

昨日雪が降って15cmくらい積もったので、完全に雪景色。晴天で暖かくて(と言っても0度)、手袋を付けなくても心地いい天気に春を感じながら歩いた。普段はポッドキャストを聞くのに、自然を楽しんでいたらイヤホンをつけるのさえ忘れていた。

スウェーデンに来てから時間がゆっくりに感じるのはこういう日常が理由だと思う。仕事はちゃんとするんだけど、勤務時間は短い。9時に勤務開始して15時半に終われば、6時間半しか働いてない。これくらいの勤務時間だと退勤後も体力が余っているから、散歩や筋トレができる。ワクワクするイベントは少ないし、お店にある商品もいつも大体同じ。東京と比べたらだいぶ「何もない」場所だと思う。だけど私にはこのスウェーデンのゆっくりした感じが合っている。

ベージュのブロックに救われたお正月。異国の地での生活って難しい。

もう1月半ばですが、お正月のふりかえりをしたいと思う。今年は初めて家族とも日本とも離れて過ごして、正直、過去一で自分にとってキツいお正月になった。

スウェーデンにあるパートナーの実家で年を越した。義母が一人暮らしを始めて初めてのホリデーシーズンだったので、寂しくさせないためにクリスマスとお正月を義実家で過ごすことを決めていた。1月1日は義母の誕生日でもあるので、私も普通に納得していた。けど実際に過ごしてみると、お正月は私にとって思っていたより大切だったことが分かった。

オランダ人家庭である義実家では、お正月を重要視しない。クリスマスはちゃんとお祝いするけれど、お正月は義母の誕生日というだけでそれ以外は普通の日。

一方で、海外転勤族ではあったものの家庭内は日本の文化で育った私は、お正月だけはちゃんと毎年お祝いしていた。しめ飾りやかがみもちで家はお正月ムード。大晦日は好きなだけお菓子を食べていい決まりだったので事前に買いだめして、夕飯はホットプレートで焼肉。年越しそばを食べて、家族でカラオケをしたり紅白を見たり、ボードゲームをしたりしながら年越しの瞬間を待つ。「あけましておめでとうございます。今年もよろしくお願いします。」だけは家族内でも敬語だった。

元旦はちゃんと朝早くに起きて、きれいな服に着替えてメイクもして、おせちとお雑煮を朝ごはんとして囲む。去年の目標を達成できたかを確認して、今年の目標を立てて、お年玉をもらう。家族写真もこの辺で撮る。おせちの品目の意味を調べたりしながらゆっくり朝ごはんを食べたら、初詣に行く。町全体が新年ムードなのを感じながら、近所の神社に歩いていく。新年セールのために買い物に行くこともある。あぁ、書いていて寂しくなってくるくらい、お正月って最高に幸せだったんだなぁ。

でも今年は、朝早く起きても誰もほかに起きてこない。SNSを見ると日本でお正月を楽しんでいる投稿が目に入る。紅白こんな感じだったんだ、とか、おせちいいな、とか。おせちなんて味はそんなに好きでもないのに、やっぱりお正月ムードになるために必要だったんだなぁ。

しかも今年は、石川県の地震が元旦に起きた。私は起きてすぐスマホを確認して地震のニュースを知った。家族はみんな無事だったけれど、日本人として心配だし不安だし、でもこの感覚は海外の人には伝わらない。日本では大きな災害が起きると日本人みんなが心配になると思うけど、これが伝わらないってなんか寂しい。

さすがに悲しくなってきて、まだ寝てたパートナーを起こして泣きついた。こんなにお正月が君にとってこんなに大切だって知らなかったよ、言ってくれればよかったのに、と言われたけど私も知らなかった。

パートナーのすすめで自分の家族に電話することになった。母と姉は今一緒に住んでいるので、ちゃんとお正月をしていた。おせちも、お屠蘇も、お雑煮もあって、心からうらやましかった。でも「お正月」の感覚を共有できたのがうれしかった。

そして、最終的に私の気分を上げてくれたのは、4年前の自分だった。義母が「棚にあるベージュのブロック、あなたが前にくれたものだけどどうやって使えばいいのかわからないのよ」と言う。カレールウかな、なんて思いながら棚を開けると、なんと、お餅だった。4年前、初めてスウェーデンに来たときにお土産として渡したものだった。一目見てテンションが上がった私は早速食べた。2021年に賞味期限は切れていたけれど、味はちゃんとお餅。醤油だけかけて食べた。一口食べた瞬間「これこれ!!」となった。味覚と記憶って本当に結びついている。

来年はちゃんとお正月を祝おうと思う。母の家に遊びに行ってもいいし、自宅でもいいけど、カップ麺でもいいから年越しそばを食べて、お餅も用意する。スウェーデンでもこれくらいなら手に入るはず。本当はもっと手に入るはずなんだけど、まだ慣れていないので勝手がわからない。おせちはもうちょっと慣れてから頑張る。

異国の地で、育ってきた文化が違うパートナーと生活するって、こういう難しさがあるんだと知ったお正月。自分にとって「日本の文化」って思った以上に大切だったんだと知った。私は宗教的ではないし普段から神に祈るなんてしないのに、初詣に行けないことで神様にご挨拶できなくてソワソワしたし。でももうスウェーデンに住む以上、日本の文化を自分の家に連れてこれるのは私自身だけなので、ちゃんと意識しないとな。勉強しよう。